前回の記事「Evolv DNA75とは?その8(EScribeの材質タブ編)」の続きです。

一応、EScribeのマニュアルも見ているのですが、ソフトの変更に対応していなかったりマニュアルに詳しい説明が無い部分もあるので、「おそらく、こういう事だろう」みたいな部分が所々あります。

Modタブで出来る事は充電池に関する設定や上下ボタンの設定などです。

基本的にはモッダー(MODを作る人)やメーカーなど開発者向けの設定なので、普通の人は変更しなくて良いと思います。

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1.Safetyのカンタル出力上限

1~75Wの範囲で設定します。

Evolv DNA75とは?その6(EScribeのテーマタブ編)」で出てきた「カンタル出力上限」のエラーと対応しています。

「カンタル」って書いてあるけど、可変電力時の出力上限です。

ここの設定を下げても75Wまで設定出来てしまいますが、通電時にエラーになり設定した上限までしか出力されなくなります。

なお、温度管理時の上限とは関係ありません。そちらは「Evolv DNA75とは?その5(EScribeの一般タブ編)」で説明した電力やボタンの操作で設定して下さい。

2.バッテリー

(1)種類

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「Lithium Ion 18650」と「Lithium Polymer」が選択できます。

「Lithium Ion 18650」は乾電池みたいな形の充電池の事です。


細かい事は「電子タバコで使う充電池について。」を参考にして下さい。26650も基本的にはこっちで良いと思います。

「Lithium Polymer」はLi-Poとかリポと呼ばれるタイプの充電池の事です。

エアガンやラジコンに使われたりします。こういう奴ですね。(これは電子タバコ用ではないです。)


「Lithium Polymer」は、電子タバコでは電池交換ができないタイプのMODで使われている事が多いです。(18650の場合もあります。)

この設定を変えると、後述する「セルソフトカットオフ」と「放電プロファイル」が変更されます。

↓種類に「Lithium Ion 18650」を設定した場合
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↓種類に「Lithium Polymer」を設定した場合
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(2)セルソフトカットオフ

2~3.98Vの範囲で設定できます。

充電池は大量の電気を取り出すと電圧が急激に下がるのですが、下がり過ぎると劣化・発熱・発火・爆発する場合があります。

その為、多くのテクニカルMODは常に充電池の電圧を監視しています。

そして、「何Vまでなら大丈夫か?」というのが充電池ごとに「終止電圧」として決められていて、それを設定するのが「セルソフトカットオフ」です。

参考記事:「Efest IMR 26650 4200mAh 50Aレビュー

実際の動作としては「セルソフトカットオフ」の設定電圧を下回らないように出力が調整されます。

↓「セルソフトカットオフ」を3.98Vに設定してデバイスモニターしてみた
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設定電力は30Wなのに「セルソフトカットオフ」の設定電圧に制限されて5W前後の出力になっています。

この際、2016-05-02版のファームウェアだと「WEAK BATTERY」(≒充電しろ)というエラーが、2016-06-05版のファームウェアだと電池のマークが点滅します。

エラーになるからとか、もっと出力を上げたいからといって、安易に変更しない方が良いと思います。

(3)放電プロファイル

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充電池は残量が減ると電圧が下がります。なので、逆に電圧からおよその残量が分かります。

ただし、充電池のメーカーなどによって電圧の下がり方が違うので、それを設定するのが放電プロファイルです。

充電池の残量の表示に影響するほか、満充電として判断する電圧や電池が空だと判断する電圧などと関係します。

縦軸が電圧で、横軸が充電池の残量(%)です。

・「移動/サイズ変更」ボタン

このボタンがオンになっている状態で、グラフ上の太い縦棒や丸い部分をドラッグする事で動かす事ができます。

このグラフは常に右上がりになっている必要があり、右下がりになった部分があると「Curve must be strictly increasing.」(≒曲線は厳密に増加しなければならない。)というエラーになります。

(どちらかと言えば減少な気もしますが。)

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太い縦棒を右クリックでX軸の値を直接入力できます。同様に、丸い部分を右クリックでY軸の値を直接入力できます。

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・「分割」ボタン

このボタンがオンになっている状態で、グラフ上をクリックするとそこに新たに太い縦棒が入ります。

・「削除」ボタン

このボタンがオンになっている状態で、グラフ上をクリックするとそこのエリアが削除されます。

この時に「Curve must be continuous.」(≒曲線は連続していなければなりません。)というエラーが出る場合があります。

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上の画像の場合はエラーが出ているエリアの右端の部分の丸い部分(設定)が2つある状態になっているのが原因です。

「移動/サイズ変更」ボタンをオンにして、2つある丸い部分のどちらかをドラッグすればもう一方が無くなり、エラーではなくなります。

・「CSV読込...」ボタン

設定ファイル(CSV形式)を読み込めます。

・「CSV保存...」ボタン

設定ファイル(CSV形式)を保存できます。

・「ラベル」ボタン

グラフの左上に表示される文言を設定できます。

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・「アクション」ボタン

クリックすると「ポイントの削除...」と表示されさらにクリックすると下の画面が表示されます。

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「ポイントの残り」で設定した個数になるように、「丸め手法」で設定した方法でポイントが削除されるようです。

「丸め手法」には「Absolute Error」(≒絶対誤差)と「Area of Error」(≒エラーエリア?領域誤差?)が設定できますが、違いはよく分からなかったです。

両方試して結果が違う場合は、自分の想定しているグラフに近い方を使えば良いと思います。

(4)Max Peak Input Current

日本語訳すると「最大ピーク入力電流」です。1~32Aの範囲で設定できます。

おそらく、充電池のピーク出力やパルス放電の値を設定をする項目だと思いますが、1Aに設定しても出力が制限されている様子はないので、項目だけ用意してあるような気がします。

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追記:この記事を見た方からのコメント欄へご指摘を頂き、再確認したところ設定通りに動作しました。スイマセン( ̄▽ ̄;)

実際の動作からみた大雑把な話として、アトマイザーへの通電開始から1秒くらいは「Max Peak Input Current」で設定した値を上限として通電し、その後は後述する「Max Sustained Input Current」で設定した値を上限として通電します。

↓「Max Peak Input Current」を上限に通電後、「Max Sustained Input Current」を上限に通電している様子
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充電池のピーク出力やパルス放電の値が分かっている場合は合わせて設定しておけば、より安全性が高まると思います。

(コメント欄の方のように余裕のある設定にしておくのも手だと思います。)
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(5)Max Sustained Input Current

日本語訳すると「最大持続入力電流」です。1~28Aの範囲で設定できます。

おそらく、充電池の連続放電の値を設定をする項目だと思いますが、1Aに設定しても出力が制限されている様子はないので、項目だけ用意してあるような気がします。

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追記:この記事を見た方からのコメント欄へご指摘を頂き、再確認したところ設定通りに動作しました。スイマセン( ̄▽ ̄;)

アトマイザーへの通電開始の1秒後くらいから「Max Sustained Input Current」で設定した値を上限として通電します。

充電池の連続放電の値が分かっている場合は合わせて設定しておけば、より安全性が高まると思います。

(コメント欄の方のように余裕のある設定にしておくのも手だと思います。)

「Max Sustained Input Current」で制限されている状態になると、画面の電池マークが点滅します。

(上で説明した「セルソフトカットオフ」に制限された時と同じ表示っていうのは、ちょっと紛らわしいかも・・・。)

ちなみに、「Max Peak Input Current」より大きい値を設定した場合、「Max Peak Input Current」の値で制限され続けます。
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(6)This mod uses an external battery charger.

日本語訳すると「このMODは、外部バッテリ充電器を使用しています。」です。

これにチェックをすると、後述する「バッテリーアナライザ」ボタンが非表示になります。

チェックをしてもUSBから充電されなくなったりはしませんでした。

(7)「バッテリーアナライザ」ボタン

横の説明によると「バッテリー容量と放電曲線を分析します」だそうです。

先にざっくりした話をすると・・・

・満充電から「充電池が空の電圧」まで放電させて、その間の放電電力量(Wh)を合計すれば充電池の容量が分かりますよね?

・上の際に、定期的に電圧を記録しておけば放電プロファイルのグラフも書けますよね?

です。大体どういう事か分かりましたか?( ̄▽ ̄;)


で、実行するには色々と下準備が必要です。

バッテリーアナライザ自体が普通の人は不必要だと思うので、参考になりそうなURLを貼って下準備の話は端折ります。

Smokey Vapers ForumのWismec Reuleaux DNA200のスレッド(英語)
http://smokeyandthebandwidth.com/forum/index.php?threads/wismec-reuleaux-dna200.37/

eScribe Battery Analyzer on Wismec Reuleaux DNA200(英語)
https://www.youtube.com/watch?v=d8EHZqiqIbM

DNA 200 battery analyzer(英語)
https://www.youtube.com/watch?v=us0rR09PQS4

電タバ関連つらつらと・・・」のeucalyptus.さんに聞いてみた
https://twitter.com/taki_nobumasa/status/816304611371847680

スイマセン、聞いておいて結局コレとか申し訳ないですm(_ _ )m

CA3A1803

CA3A1802

素人目にも危なっかしいです。安全とは言い難いのでオススメできません。


「バッテリーアナライザ」ボタンを押すと以下の画面が出て来ます。

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このツールは、バッテリーの容量と放電プロファイルを分析します。

バッテリーが完全に充電されたテストを開始することを確認してください。

あなたが選んだテストパワーをシンクできる抵抗を接続します。

(40Wは合理的に代表的なテストパワーです。)

バッテリーが空になるまでテストが実行されます。
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This tool will analyze the capacity and discharge profile of your battery.

Make sure your battery begins the test fully charged.

Attach a resistor capable of sinking the test power you choose.

(40W is a reasonably representative test power.)

The test will fire until the battery is empty.
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OKを押すと電力を設定するように言われます。ちなみに20~75W以外にするとエラーで怒られます。

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その次はこの画面が表示されます。

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「記録...」ボタンでCSV形式でログを保存できます。「記録...」ボタンは「Stop Recoding」ボタンに変わり、これを押すまで記録されます。

「開始」ボタンを押すととりあえず満充電まで充電されます。(4.2V固定なのか、現時点の放電プロファイルが使われるのかまでは検証してません。)

ちなみに上が充電池の電圧で、下が充電池への電流(or電力量or電圧or電力。時間経過で増えないのでたぶん電流。)だと思います。

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充電が終わると一定間隔で通電を繰り返します。電池の容量によると思いますが、ここから1時間前後掛かります。

上から、使用電力量・充電池の電圧・通電時の電力・充電池への何かです。

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終わるとこんな感じで、左上に電力量が表示され、登録を押すと放電プロファイルに測定結果が反映されます。

↓SONY VTC5っぽいモノ(容量8.459Wh、終了時の充電池の電圧2.94V。)
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↓Efestの26650(容量14.030Wh、終了時の充電池の電圧3.33V。)
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なんでしょうね。通電時の電圧の下がり方が酷いから、EScribeの判断で終了したんでしょうか?( ̄▽ ̄;)

「Lithium Ion 18650」と登録された放電プロファイルも貼っておきます。

↓Lithium Ion 18650
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↓SONY VTC5っぽいモノ
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↓Efestの26650
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ここまでの手間と時間を掛けて、「充電池の残量の表示が少し正確になったかもしれない?」程度なので、普通の人はやらなくていいと思います。

3.電気設定

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ここはEScribeのマニュアルに説明があるのと、素人が弄る項目ではない感がするので、それで済ませます( ̄▽ ̄;)

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Mod抵抗:modの抵抗。

オームロック範囲:±:DNAがオームロックされている場合、抵抗の最大パーセンテージ差は同じコイルとみなされます。 これを増やすことはお勧めしません。
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Mod Resistance: The resistance of the mod.

Ohm Lock Range: ±: When the DNA is Ohm Locked, the maximum percentage difference in resistance that will still be assumed to be the same coil. We don't recommend increasing this.
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4.EScribeのDefault Skin

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ヘルプデスクに問い合わせてみたのですが、未実装だそうです。

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こんにちは。 私はDNA75を実験しています。

MODタブのデフォルトスキンとは何ですか?

私は何を設定すべきですか?

私は、DNA 75ページで「EScribe Interactive Training Course」と「EScribe User Manual」を見ました。

しかし、EScribeは更新されているようです。 私は説明を見つけることができませんでした。

最新の情報はどこにありますか?
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こんにちは熊猫♂(本名で問い合わせてます)、

残念ながら情報は最新です。

スキンオプションはまだ完全には実装されておらず、EScribeインターフェイス自体の将来のカスタムインターフェイス用です。

ありがとう、
ニック・コトリス
Evolv、Inc
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Hello. I am experimenting with DNA75.

What is the Default Skin on the MOD tab?

What should I set?

I saw "EScribe Interactive Training Course" and "EScribe User Manual" on the DNA 75 page.

However, EScribe seems to be updated. I could not find an explanation.

Where can I find the latest information?
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Hi 熊猫♂(本名で問い合わせてます),

Unfortunately information is current.

The skin option is not fully implemented yet and is for future custom interfaces of the EScribe interface itself.

Thanks,
Nick Coutris
Evolv, Inc
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5.メカ設定の上下ボタン

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見たまんまですね。

6.温度設定

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ざっくりした話だと、充電中に温度が上がる関係でケースの放熱に合わせて充電ペースを調整したりするもののようです・・・が、よくは分かりません( ̄▽ ̄;)

ここもEScribeのマニュアルに説明があります。

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サーマル

Case Analyzerおよび/またはDevice Manufacture固有の設定を使用して、フィールドにデータを入力する必要があります。 マニュアル項目の入力はお勧めしません。

ケースアナライザー:EScribeを使用して、ケースの熱特性を分析することができます。

これには既にメーカーの設定が入力されているため、変更する必要はありません。

ケース冷却時間定数:ケースが定常温度にまで63.2%冷やされる時間。

ケース加熱時間定数:ケースが定常温度まで63.2%上昇する時間。

ケースUSB充電量ΔT:USB充電による発熱量。

最小周囲温度:このデバイスが使用される最小周囲温度。

通常、これは調整する必要はありません。

最大周囲温度:このデバイスが使用される最大周囲温度。

通常、これは調整する必要はありません。
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Thermal

The Case Analyzer and/or Device Manufacture specific settings should be used to populate the data in the fields. Manual field entries are discouraged.

Case Analyzer: EScribe can be used to analyze your case’s thermal properties.

This should already be populated with the manufacturer’s settings and will not need to be changed.

Case Cooling Time Constant: The time for the case to cool 63.2% of the way to a steady temperature.

Case Heating Time Constant: The time for the case to heat up 63.2% of the way to a steady temperature.

Case USB Charge ΔT: The amount of heating caused by USB battery charging.

Minimum Ambient Temperature: The minimum ambient temperature this device will ever be used in.

Typically this will not need adjustment.

Maximum Ambient Temperature: The maximum ambient temperature this device will ever be used in.

Typically this will not need adjustment.
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変更する必要ないらしいですけど、ボタンがあると押したくなりますよね( ̄▽ ̄;)


「ケースアナライザ」ボタンを押すと以下の画面が出ます。

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このツールは、様々なUSB充電レートに対するケースの熱応答を分析します。

お使いのデバイスがクオーターからハーフ充電され、通常の温度条件であることを確認してください。
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This tool will analyze the thermal response of your case to varying USB charge rates.

Make sure your device is quater-to-half-charged and under normal thermal conditions.
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OKを押すと、外気温を入力する画面が出ます。ちなみに華氏70℉は摂氏21.1℃です。

Wikipediaの華氏のページ
https://ja.wikipedia.org/wiki/華氏

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OKを押すと、この画面が出ます。おそらく上が基板の温度で、下が充電池への何かです。

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「記録...」ボタンでCSV形式でログを保存できます。「記録...」ボタンは「Stop Recoding」ボタンに変わり、これを押すまで記録されます。

「開始」ボタンを押すと、充電が中断されて30分冷やす状態になります。

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それが終わると30分充電する状態になります。

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それが終わるとまた30分冷やす状態になります。

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それが終わると今度は2分充電する状態になります。

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それが終わると今度は5分冷やす状態になります。

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それが終わると完了です。都合、2時間近く掛かりますね( ̄▽ ̄;)

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登録を押すと温度設定に測定結果が反映されます。見比べてみますか?

↓ケースアナライザ実行前
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↓ケースアナライザ実行後
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外気温以外は全然違いますね( ̄▽ ̄;)

VT75はメーカーでEScribeの設定を調整した形跡が無かったのでケースアナライザの値を使った方が良い気もするけど・・・元々の値の方が無難かもしれないですね。

基板が熱くなったので充電を中断みたいな事が起きてる気配とかないですし、基板に温度センサーがあるなら常にそこを監視してればいいんじゃないかとか・・・割と謎設定です。


→「Evolv DNA75とは?その10(EScribeの開発タブ編)


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